ブラダマンテの冒険3/vs.魔女アルシナ

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 …そんなわけで、いらんことしぃなロジェロは折角自由になれたのに、ヒッポグリフに攫われて空の彼方。行方不明になってしまった。  ここから物語は、そのロジェロのほうへズームアップ。  ようやくヒッポグリフが降りたのは、見ず知らずの場所だった。ヒマラヤスギが生えていたり、泉が湧いていたりと、なかなかに良さげな場所だった。見たカンジ、危険な場所ではなさそう。  とりあえず、乗って来たヒッポグリフを手近なミルテの木にくくりつけ、休憩しようとするロジェロ…と、そのとき、ミルテの木が突然喋った!

 「ああ、君。お願いだ、この縄を解いてくれ。ボクをいためつけるこの獣を遠ざけてくれ」

 「誰だ?!」

 「ボクだよ、ユー。君の目の前にいるじゃないか」

当たり前だがロジェロはびっくり。木に向かって謝りながら、ヒッポグリフの手綱を解いた。  「すまない、まさか木が生きて…いや、木の中に生き物がいるとは気がつかなかった。……ええと…君は何者かな?」

 「ふふ、聞いてくれるのかい我が友よ。僕に起きた悲劇の数々を。そう…あれは、ボクが旅から帰る途中のことだった・・・。」

 「(まだ聞くとか言ってないんだけど。まいっか)」 カンペキに自分の世界に陶酔してしまったミルテの木は、打ち明け話を始めた。  それは、恐るべき内容だった。  「ボクはアストルフォ…そう、天下に名を轟かせた、あのアストルフォさ。父のオトはイングランドの国王だよ。僕自身はシャルルマーニュに最も信頼された勇士ってわけさ。フフ、驚いたかい? 驚くのはまだ早いよ。そんな高貴なボクがどうしてこんなところにいるのかってことさ。それは…おお、今考えてもおぞましい。…アレは僕が、マイ・フレンズとともにフランスへ帰ろうと旅をしていた時だった…。」  「ちょっと待て」  「なんだね?」  「…あんた、ブラダマンテのいと…い、いや、あのオルランドゥやリナルドのイトコなのか?」  「そうさ。彼らは、ボクの素敵な血縁者たちだよ。まあ、美しさはボクには劣るけどね」

さあて。回想してみよう! 

 思い起こせば、あれはかれこれ10章くらい前のこと。  確か、妖精モルガナから解放されたフランスの勇士一同は、シャルルマーニュからの召還命令に従って国に帰ったはずだよね。その時、リナルドとアストルフォは一緒だったはず。  だが、その後の戦いのシーンでは、確かに、リナルドしか出てきていない…。  と、いうことは?!  「…帰り道ではぐれたのか?」 ストレートに聞いてみるロジェロ。

 「おぉ! 君。なんてことを言うのだね。このボクに限ってそんなことがあるはずないじゃないか。魔女アルシナの城の近くを通りかかったのさ。魔女は海から魔法で品物を吊り上げてみせた。そして、大きな鯨の背を指して、こう言ったのだ。”ちょうどあそこに人魚がやってきて、美しい声で歌う時間なのですよ。私と一緒にいらっしゃいませんか”と。…そこでボクは彼女のお招きに従ったというわけさ。」

 「(その結果がこれかい←ツッコミ)」 魔女の誘いに乗ってイイことなんかあるはずもなく、あっさりだまくらかされたアストルフォは、身包み剥がされて木に変えられてしまったのだった。  女性問題でイヤな目に逢いまくってたリナルドは、「やめとけ、行くな」と止めたのだが、アストルフォは聞かなかったらしい。  「魔女といえば、蛙に変えるのがお約束ではないのか」

 「フ…。この美しいボクに蛙になれなんてそんな無粋な。他の連中はヤシだの岩だの美しくもないモノに変えられたが、ボクに相応しいのは優美なミルテの木さ! 魔女もよく分かっているのだよ」

この島を支配する魔女・アルシナは、あのモルガナの姉妹である。

 彼女たちは3人姉妹で、父の王からそれぞれ財産を継承したが、ふたりの姉はうそつきで淫ら、末の妹ロジェスティラだけは正直者で、姉たちの国とは山脈で隔てられた、島の端に王国を持っているのだという。  「助かりたいのなら、君、ロジェスティラの国にゆきたまえ。」 と、アストルフォは道を教えてくれた。  「こんな馬鹿でもブラダマンテのいとこには違いない…。どうにか助けてやれないものか」 人のいいロジェロは思案した。そして、結局、安全なロジェスティラの国ではなく、魔女アルシナの城へ突っ込んで行くのである。  行く手には罠がいっぱい、ゴブリンもいっぱい。障害の数々を、闘って乗り越えていくロジェロ。――と、そこに、ユニコーンに乗った美しい乙女たちが!  彼女たちが現れると、怪物はみな引き下がった。  「ようこそ、さあこちらへ」 何かあからさまに怪しいけど、ついていかないとイベントが進まないので(笑)、ロジェロは用心しながらついていくことに。  行く手には壮麗な宮殿が姿を現し、美しい女性たちが歓迎の準備をして待ち構えていた。  「いらっしゃいまし。類稀なる勇者よ。われらが女主、アルシナ様が、あなたにご挨拶なさいますわ。」  「…!」

ちゃらりら~り~♪

 美人だった。

・美しい貴婦人からのお誘いは断ってはいけない(騎士鉄則) ・美しい貴婦人とは仲良くしなくてはならない。(騎士条件反射)

 今やロジェロは、アストルフォが語った魔女の悪行なんか、すっかり忘れてしまった。

 「あいつは、きっとウソをついたに違いない。こんな素晴らしい美女が、男を弄ぶ魔女だとは、到底思えない…!」  かくて、王子様は再び、とらわれの身。いやあ、こんなに頻繁にとっつかまる勇者も珍しい^^;  ――そのころのブラダマンテは、行方不明になったロジェロを探して、必死の旅を続けていた。  何しろ空の彼方に消えてしまったものだから、手がかりなんか何も無い。だが、どこかに墜落すれば、きっと噂が聞こえてくるはず。彼女は恋人が生きていることを信じて探し続けた。

 とても健気なようだが、今、本国フランスはアグリカン王の軍勢とイッパイイッパイの戦いを繰り広げているところなので、要するに職務放棄である。

 「ダメだわ…、見つからない。ロジェロ、一体どこに…。」 途方にくれるブラダマンテ。そんな時にはお助けキャラが登場するお約束!  「わが娘よ。」  「あなたは…、魔法使いマーリンの祭壇に仕える巫女、メリッサ様!!(←説明的セリフ)」 ”この二人をくっ付けるとイタリアが富む”というマーリンの予言により、ブラダマンテとロジェロをなんとしてもくっつけたいメリッサは、既に独自の方法でロジェロの行方を探っていた。彼がアルシナの城にとらわれていることも知っていた。  「私が行って、幻にとらわれたロジェロの目を覚まさせましょう。ブラダマンテ、そなたの持つ指輪が必要です。」 ブラダマンテは、指輪をメリッサに渡した。もとはカタイの王女・アンジェリカが持っていた、あの魔法の指輪、あらゆる魔法を無効化し、口にふくめば姿を消せるという超便利な指輪である。  「これさえあれば、魔女の城にも入り込めます。」 言うなりメリッサは、すちゃっと馬に飛び乗った。この馬がとんでもない馬で、一晩のうちにアルシナの城へと辿りつく。

 チョット待て、アルシナの国は地中海の島にあるんじゃなかったっけ、間の海は? と、いうツッコミは今や、ちっちゃな問題だ。

 指輪の魔力で姿を消したメリッサは、魔法の城に入りこみ、アルシナの魔法で骨抜きにされていたロジェロを見つけた。アルシナに与えられた豪奢な服を着て、悦楽に浸りきったロジェロからは、かつての精悍な面影は失われている。魔法を打ち破り、正気に戻すためには強烈なインパクトが必要! そこで彼女は、かつてロジェロの教育者だった、魔法使いアトラントへと変・身★  「こらロジェロ! 何をサボっとるんだ、このバカ者が。わしがお前を教育したのは、こんなところでいかがわしい魔女とダラダラさせるためではないぞ!!」  「はっ…、し、師匠?!」 一瞬で正気に戻るロジェロ。ううむ、やはりジジィの仕置きは強烈か。  アルシナの与えた、偽りの快楽から目を覚ましたロジェロが見たのは、見知らぬ女性。

 「ようやく気がつきましたね。私はメリッサ。貴方に思いを寄せる魅惑的なアマゾン(=女戦士。っつか、せめて”女騎士”とか呼んでやれよ・・・。)からの贈り物をお持ちしましたわ。さあ、この指輪を」

メリッサは、ブラダマンテか預かってきた魔法の指輪をロジェロの指に嵌めた。  「さあ、急いで逃げるのです。装備を取り戻して」  「え、戦うんじゃあ・・・」

 「アルシナには勝てませんから。(キッパリ) あなたは魔女の目を引き付けつつ、ロジェスティラの国へ逃げなさい。困ったときには、あなたが持つ、魔法使いアトラントの盾が役にたつでしょう。私は、アルシナの目が外へ向いたすきに、木や岩に変えられた騎士たちを元に戻しましょう」

とどのつまり、魔法には勝てないので尻まくって逃げよう、と。  何だか納得いかないけど、木に変えられたアストルフォ他、人質もたくさんいる状態なので仕方がない。  魔法が解けたロジェロは、すべてを知った…。  あれほど美しく見えたアルシナが、実は醜悪な老婆であったということも、この宮殿自体、めくらましの産物であったことも。  美人だと思ってたのに! 整形美人ですらなかったなんてー…!  「オレの青春を返せ!!(号泣) ああブラダマンテ、すまなかった。一瞬でも、こんな醜いバアさんに心奪われるなんて。オレは、オレはなんて酷い男なんだ…。」  ロジェロ、青春真っ盛り(笑)  戻ったらブラダマンテに謝ろう、と心に誓い、必死で宮殿から逃げ出すロジェロ。それに気づいた魔女アルシナは、軍勢を率いて追いかける。からっぽになった宮殿にひとり残ったメリッサは、そのスキに、こそこそと魔法の護符を壊して、木に変えられた人々の救出に当たっていた。  こうして、なんとか追っ手を振り切って逃げ出すことに成功したロジェロ&他の騎士たち。  ロジェスティラの国に逃げ込むと、そこから、めいめいの国目指して帰っていった。胸に、「魔女には関わらないほうがよい」「光合成で生きていた日々を忘れるな」という教訓を抱いて。…  別れの時が来て、ロジェロは、ブラダマンテの託した魔法の指輪と、アトラントの盾を持ち、何とか乗りこなせるようになったヒッポグリフに乗って、ブラダマンテのもとへ。さあ、これで二人は出会えるのかって? イヤイヤ。^^;  恋は障害があるほど燃え上がるもの、と、いうか、下世話なほど人の恋路に邪魔を入れたがるのがこの物語。  まだまだ続く、恋人たちの受難! まっすぐ故郷を目指すロジェロの行く手に立ちふさがったものとは…?

[次回はロジェロの放課後大冒険-道草は危険の香り-。]


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■シャルルマーニュ伝説 -The Legends of Charlemagne

つっこみルネッサンス

 メリッサはブラダマンテに告げた、「魔法使いの城に侵入するには、ムーア人たちの王アグラマンが、カタイの王女(アンジェリカ)から奪わせた、すべての魔法を無効にする指輪が必要なのです。ロジェロはアグラマンにとっても必要な戦士。彼は手下のブルネロという男にこの指輪を持たせ、送り込んでいるはずです。  あなたは、ブルネロに接触し、魔法使いの城まで案内させるのです。  この男は信用なりませんから、城に近づいたら殺して、指輪を奪い取ってしまいなさい。」 サリゲに恐ろしいこと言いますな、メリッサさん^^;

 ブラダマンテは分かったと言い、言われたとおり、魔法使いの城にほど近い、_ボルドーの町_へとやって来た。

 ブルネロはすぐに見分けがついた。メリッサに聞いていたとおりの、背の小さな奇妙な姿をした男だったからである。  町の上空スレスレを飛んでいく、翼の生えた魔法の馬はすぐに見ることが出来た。  おびえている町の人。今まで何人もの騎士たちが挑んだが、誰ひとり戻ってくることは無かったと…。  ブラダマンテ「それでは私が挑戦しましょう。どなたか、道案内をしてくださる方はいないのか?」 ええっ、とどよめく人々。また一人、犠牲者が…!  ブルネロ「なら、あっしがご一緒しやしょう。城の位置はよぉく分かってまさあ」  悪賢いブルネロは、自分は魔法を無効化する指輪を持っているから安全だと思っている。イザとなったらブラダマンテをおとりにして逃げる気だ。  だが、ブラダマンテのほうも、この男が自分から名乗り出てついてくることは予想済み。  ブラダマンテ「よろしく頼む。」 と、いうわけで、次の日、夜が明けると二人は早速、城へと向かって歩き始めた。  場所はピレネー山脈のてっぺん。フランスやスペインまでも見渡せる、山の頂だ。  ブルネロ「さぁ、付きやしたぜ。あすこに見えるのが魔法使いの城」  ブラダマンテ「…そうか。」 メリッサは殺せと言ったものの、武器も持ってない人間を殺すのはしのびない。  心優しきブラダマンテは、小人のブルネロを一発殴って指輪を奪い、縛り上げて木につるすにとどめておいた。(山の上に放置されたら、どっちみち死ぬような気がするが^^;)  目的の指輪を手に入れて、ブラダマンテは山の頂めがけて雄たけびをあげた。魔法使いは、すぐにやってくる。  武器は何も持っていない、だがきらめく鎧を身にまとい、手には布をかぶせた怪しげな盾。

 そして乗っているものはといえば、神話に出てくるヒッポグリフ、馬とグリフィンをかけあわせた魔法の生き物だった。

 ブラダマンテ「…来い、わが愛しき人を奪った邪悪なる魔法使いめ…!」<ボス戦BGMイン

 だが彼女は、知っていた。魔法使いの武器は、その布をかけた盾、光を放ち浴びたものの気を失わせるという恐ろしい魔法の盾なのだと。(カメラのストロボみたいなモンでしょうか。)

 魔法使いが盾をふりかざした瞬間、ブラダマンテは気を失ったようにばったりと倒れた。もちろん、持っている魔法の指輪のおかげで、本当は気を失っていない。  魔法使いのほうも、まさか相手が演技しているなんて思ってもみない。  安心しきって近づいてきたその時。ブラダマンテが動いた。  「…!!!」  「動くな。貴様の負けだ」 喉元に剣をつきつけれた魔法使い。鎖で縛り上げられ、身動きとれなくなったところで、ブラダマンテはこの魔法使いの名を聞いた。  魔法使いアトラント、それが、ロジェロの育ての親でもある、この魔法使いの名だ。  「答えろ。貴様はなぜ、こんなことをする」  「…最初から、ただ一人のためだった。わしが誰よりも愛する一人の騎士のために。彼の運命を占ったとき、不吉な答えを知ったのだ。あの者は、…ロジェロはキリスト教徒になるだろう。だが、そのすぐ後に、もっとも腹黒い奸計にかかって死ぬだろう、と」  「!」 とらえた魔法使いから恋人の名を聞き、少なからず驚くブラダマンテ。  「わしは、あの子を愛しておるのだ。騎士の中でもっとも美しく、もっとも完成された肉体を持つ、あの子を!

 ここを出て、運命のとおり死んでほしくない。だから城を築いた! ロジェロがここを出たくなくなるよう、騎士も貴婦人も集め、贅沢の粋を凝らした贅沢な牢獄とするために!」

 「そして貴様は、あの人を一生とじこめて、自分のものとしておくつもりだったのか!!」  わぁーなんかシーリアスな展開だよぅー、とか思いつつ、

 読み返してみると、なんだかアトラントの台詞が必要以上にやらしいような気がするんだ。^^;

 プラトニック・ラヴですか…?  「頼む。他の者たちはすべて解放してかまわない。だが、ロジェロだけは、わしのもとに…!」  「おろかな。この私の目的は何に変えてもただひとつ、まさに、そのロジェロ殿を解放することにある!」 ブラダマンテは勇者らしいセリフを言い放った!

 「自分の運命すら予見できなかったあなたに、他人の運命など見えるはずがない! もし、あの人に残酷な運命が待ち受けているのなら…、私がその運命を変えてみせる!

 うちひしがれた魔法使いをその場に残し、ブラダマンテは城へと向かった。

・勝利・ けいけん 270000 ボーナス 3000

ブラダマンテ は 1500G を てにいれた! ヒッポグリフ を てにいれた!

魔法の盾 を てにいれた!

 解放された城で、ブラダマンテとロジェロは再会を喜び合った。育ての親がこんなことをしでかして、ロジェロ一体どんな気持ちだったんだろうか(笑)  二人は、連れ立ってさっき魔法使いを倒した場所に戻ってきた。魔法使いの乗っていた馬は、まだそこにいる。  解放された騎士たちは、この奇妙な馬(ヒッポグリフ)を捕まえられないものかと追い掛け回していた。  ロジェロ「あれは、アトラントの乗っていた馬だな。…ようし、ひとつ私が捕まえてみよう」  と、何気なく手を伸ばし、手綱をつかむロジェロ。馬をおとなしくさせようと、その背中にひらりと乗った、その瞬間…。  馬はいきなり、翼を大きく広げ空へと飛び立った!  ロジェロ「わあ!」  ブラダマンテ「ロジェロ…、ロジェロっ!!!」  大変だ。馬が暴走してしまった。  主人ではない者が背に乗ったためか、普通の馬とは違うので、おとなしくさせることも出来はしない。  あわれ、別れて出会い、また別れ。恋人たちは空のかなたへと引き裂かれ…(ぺぺん)  呆然と見上げるブラダマンテ。翼ある馬はロジェロを載せたまま、遠く西の彼方へと、小さくなっていったという…。

[女勇者ブラダマンテの旅は続く。がんばれ! ブラダマンテ!]

Resumir
ロジェロはヒッポグリフに攫われ、見知らぬ場所に降り立つ。そこでミルテの木が話しかけ、彼はアストルフォという名の木に変えられた勇士の話を聞く。アストルフォは魔女アルシナに騙され、木にされてしまった。ロジェロは彼を助けるため、魔女の城へ向かうことを決意する。道中、ユニコーンに乗った美しい乙女たちに出会い、彼女たちに導かれる。